アロマテラピーは、植物の香りを活用して心身の調和を促進する自然療法の一環です。
植物由来のエッセンシャルオイルを使用し、香りを通じて感じることで、リラックス、ストレス軽減、集中力向上などの効果が期待されます。
今回はアロマテラピーの楽しみ方や効果、注意点について解説します。アロマテラピーに興味のある方は、まずは基本を押さえておきましょう。
アロマテラピーとは
冒頭のとおり、アロマテラピーは、古くから植物から抽出したものを利用して心身の健康を促進する自然療法の一種です。
水蒸気蒸留法、圧搾法、油脂吸着法などで抽出された植物由来のエッセンシャルオイルを使用し、心の安定やリラックス、さらには身体的な不調の改善を図る手法です。
抽出方法についての詳細はこちらをご覧ください。
「アロマテラピー」はフランス語読み、「アロマセラピー」が英語読みであり、どちらも意味は同じです。
アロマテラピーの楽しみ方
アロマテラピーの基本は、植物から得られるエッセンシャルオイルに含まれる成分が、香りを通じて私たちの感覚器官や脳に影響を与えるという考え方にあります。
芳香浴法・吸入法・沐浴法・湿布法・トリートメント法など、楽しみ方はいくつもあり、主に鼻から香る方法と、肌につける方法にわけられます。
鼻から香る
鼻から芳香成分を体に取り入れたあとの経路は、2つに分かれます。
一つめは、毛細血管から血管へ入り、全身へ運ばれる経路です。
精油の芳香成分が気管支を通って肺に入り、肺胞を通り抜ける際に微量ながら血管へと浸透します。血管に入った成分は血液にのって全身を巡り、体の器官や組織に働きかけていきます。
二つ目は、電気信号となり、ホルモン分泌の司令塔である、脳の視床下部や下垂体に働きかける経路です。
精油の芳香成分が、鼻の奥にある嗅上皮の粘膜に付着し、嗅神経細胞を経て脳の嗅球へ、さらに大脳辺縁系から視床下部へと伝えられます。
電気信号がこの視床下部に直接働きかけることで、自律神経やホルモンのバランスを整えることができます。
自律神経やホルモンのバランスが整えば、気持ちが落ち着いたり、心身をリフレッシュあるいはリラックスすることができます。
尚、下垂体の前葉からは、プロラクチンや成長ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン等が、下垂体の後葉からはバソプレシンやオキシトシンが分泌されます。
鼻から入った香りは、自律神経のバランスを整え、抗ストレスや疲労感軽減、疲労からの回復作用など、さまざまな薬理効果を発揮します。それと同時に、記憶と結び付くことで、リラックス・リフレッシュなどの心理作用ももたらします。
鼻から香りをかぐという方法は、心理的な効果が非常に大きいといわれています。なぜなら、視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚という5つの感覚のなかで、嗅覚だけが唯一、大脳旧皮質という「古い脳」に直接働きかける感覚だからです。
肌につける
アロマテラピーで用いられる精油は、皮膚から吸収され全身に運ばれます。
精油成分は分子量が小さいため、毛穴や汗腺から吸収され、皮下組織へと浸透します。分子量の大きさによって異なりますが、塗布後15〜20分で血液中に精油成分が検出されます。
精油を肌につける場合は、肌への刺激が強すぎるため、キャリアオイル(植物油)などで希釈してから使いましょう。
アロマバスやスプレーなどで精油を楽しむ場合にも、規定量を必ず守るようにしてください。
アロマテラピーの効果
アロマテラピーには様々な効果があります。その中で代表的なものを以下に紹介します。
注意点と留意事項
アロマテラピーを活用する際には、以下の点に留意することが重要です。
原液を皮膚に直接つけない
エッセンシャルオイルは非常に濃縮されているため、原液では刺激が強すぎます。適切な希釈を行い、安全に使用することが重要です。
誤って精油の原液を直接皮膚につけてしまった場合は、すぐに清潔な大量の流水で洗い流してください。赤み、刺激、発疹など皮膚に異常がみられた場合は、医師の診察を受けましょう。
精油を飲まない
希釈したものであっても、精油を飲んだり、食事として摂取すること、うがいに使うことをおすすめしません。誤って飲んでしまった場合、口の中に精油が残っている場合は口を水ですすいでください。
子どもなどが飲み込んでしまった場合は、吐かせずに、すぐに医師の診察を受けてください。
精油を目に入れない
誤って目に入れたり、精油がついた手で目をこすらずに、水で洗い流します。
決して目をこすらずに、速やかに医師の診察を受けてください。
火の近くで扱わない
精油には引火性があり、一定の温度を超えると火気に触れて発火する危険性があります。
キッチンなど火気を扱う場所で、精油や精油を使用するのは注意が必要です。
引火点が低いものは、フランキンセンス32℃、ジュニパーベリー33℃、オレンジ・スイート43~45℃、ペパーミント67~70℃、ラベンダー75℃などです。かなり低いものもあるので注意しましょう。
妊娠中や特定の疾患がある場合は医師に相談する
妊娠中や特定の疾患がある場合は、医師と相談したり、注意が必要な場合があります。
基本的には、妊娠初期は精油の使用を避けることが推奨されています。また、安定期に入っても子宮を刺激する精油や毒性が強い精油は使えません。
どうしても使う場合でも、妊娠中は肌が敏感になるので、いつもよりも低濃度で精油を使いましょう。
まとめ
アロマテラピーは自然の香りを活用して心身の健康を促進する素晴らしい手法です。
適切な使い方や注意点を守りながら、日常生活に取り入れることで、リラックスや健康の向上を図ることができます。自分に合った香りを見つけ、アロマテラピーを通じて癒しとリフレッシュの時間を楽しんでみてください。