皆さんはトコジラミを見たことありますか?
私の周りでもにわかに、「怖くてバスに座れない」「気になって電車に座れない」という人が増えてきています。
そこでオススメしたいのが、手作りで簡単にできるアロマスプレーです。アロマには虫をよける忌避作用の強いものがあります。
今回は、最近の研究からわかったアロマを使用した対策をご紹介します。
トコジラミに関するアロマ効果から読みたい方はこちらから
トコジラミはなぜ対策が難しいのか?
トコジラミは、海外からのインバウンド客の、スーツケースや、リュック、服などにしがみついて、あちこちに移動します。
トコジラミとは、目に見える、小さな赤いダニです。別名「南京虫」。私的にはこちらの呼び名のほうが、馴染みがあります。
それは、30年近く前に流行った、沢木耕太郎さんの「深夜特急」で、出てきたんだと思います。
アジアの各地を旅する安宿で出てくる「南京虫」は、当時日本にいた私にとっては、全く関係ない、異国の地にいる遠い存在でした。
そのトコジラミがつい最近日本で騒がれるようになったのは、「電車の座席にもトコジラミがいた!」というSNSがあった頃からかと思います。
東京都でのトコジラミに関する相談件数は、2023年11月には2022年の件数を上回っており、記録が始まった1987年以降で最も多い数となっています。また、10年前の2.5倍以上に増加しています。
トコジラミを心配した人たちがどうしてるかというと、市販の虫よけスプレーを座席にかけてから、座っているそうです。
バスや電車の短い時間ならまだしも、ホテルなどの宿泊施設でもこれからトコジラミ対策に追われると思います。
最近は、薬剤の耐性がついた、スーパートコジラミ(スーパー南京虫)をいう言葉も見かけます。
つまり殺虫成分に耐性を持った個体もいることから、対策が難しくなっています。
虫が嫌がる!アロマの「忌避効果」
エッセンシャルオイル(精油)がもつ香りには、害虫に対しての「忌避効果」すなわち「虫除け効果」が期待できるものがあります。
植物の香り成分が濃縮されたのがエッセンシャルオイル(精油)です。
植物は我々動物とは違い動くことができないため、良い香りを放ち、鳥や虫などを近寄らせ種を運んでもらったり、動物に食べられないために苦みや毒などの様々な成分を作り出します。
虫が嫌がるとされる成分 | 左記を含むハーブ |
---|---|
シトラール | レモングラス、レモン、ライム、オレンジなど |
シトロネラール | ユーカリレモン、シトロネラ、レモングラスなど |
シトロネロール | ユーカリレモン、ゼラニウム、レモングラスなど |
シネオール | ユーカリグロブルス、ローレル、ローズマリーシネオール |
カンファー | クスノキ(樟脳)、ローズマリーカンファー、ラバンジン、スパイクラベンダーなど |
メントール | ペパーミント、和ハッカなど |
オイゲノール | クローブ、シナモンリーフ、パチュリなど |
β-カリオフィレン | クローブ、シナモン、ローズマリー |
エッセンシャルオイルには、殺虫剤のように虫を死滅させる働きはありませんが、蚊やゴキブリなどの昆虫は、特定のエッセンシャルオイルの香りを嫌います。
害虫 | 嫌いな成分 |
---|---|
蛾 | メントール、カンファー |
蜂・アブ | メントール |
蚊・ハエ | シネオール、シトロネラール、シトラール |
ゴキブリ | メントール、オイゲノール、β-カリオフィレン |
クモ | 柑橘系、ペパーミント、β-カリオフィレン |
ダニ・ノミ | メントール、シネオール、カンファー、シトロネロール |
こうした忌避効果のあるエッセンシャルオイルを身にまとうと、昆虫は香りを嫌がり近寄らなくなるため、虫に刺されにくくすることができます。
オレガノ精油は忌避率100%
公益社団法人 日本アロマ環境協会(略称:AEAJ)によると、シソ科のオレガノ精油にはトコジラミを忌避する作用があることが明らかになっています。
濃度の異なるオレガノ精油のトコジラミ忌避作用を、 3時間後から24時間後までDEET(合成防虫剤)と比較した研究があります。
いずれの濃度でも効果がありましたが、その持続性は濃度によって変わります。
9時間後の効果は濃度10%で65%、濃度40%ではDEETと同じ、忌避率100%の効果が得られました。
くすのき精油で害虫トラブルを未然に防ぐ
トコジラミを防ぐには、クスノキ(樟脳)の香りが効果的です。
多くの植物から抽出した精油を調査した研究により、クスノキ科の植物には強力な忌避成分が含まれていることがわかりました。
本研究においては,クスノキ精油200μl あるいは500μl の塗布により,夏季の夜間に少なくとも6時間は効果が持続することが確かめられた.以上の結果から,クスノキ精油は昆虫媒介性感染症の予防対策に利用できる可能性があると考えられた.
参考:佐賀大学農学部彙報|クスノキ精油のカ類に対する忌避効果、最終閲覧日:2023年5月24日
樟脳はカンファーやカンフルとも呼ばれ、その香りが虫の侵入を防ぎます。
樟脳は市販されており、粉末やカンファーを含むアロマオイルとして千円から二千円程度で購入できます。
ただし、樟脳は害虫を完全に駆除する力は持っていません。「害虫を完全に駆除したい!」という方には向かないので、害虫の侵入を未然に防ぐのにおすすめです。
【トコジラミ対策】虫除けアロマスプレーの作り方
忌避作用のある精油で作るアロマスプレーの作り方をご紹介します。
携帯用にすれば外出先にも使え、トコジラミ予防に最適です。
ご使用になる場合は、肌にスプレーがつかないようご注意ください。寝具に使用する場合は、スプレーした箇所が乾いてからお使いください。
<材料>(約50ml)
- 精油 10~20滴 ※合成香料ではなく、100%天然のもの
- 無水エタノール(アルコール) 5ml
- 水 45ml
- スプレー容器 50〜60ml
使用する精油は、オレガノ精油、ユーカリ精油、シトロネラ精油、レモングラス精油、ゼラニウム精油がおすすめです。配分や精油はお好みの香りを選んでください。
なお、プラスチック製の容器は、精油で溶けることがあります。特にリモネンという成分は、プラスチックを溶かす力が強力です。あらかじめ、精油やアルコールに対応しているか確認するようにしてください。または、ガラス製のものが望ましいです。
<作り方>
- スプレー容器にエタノールを入れます。
- ①に精油を加え軽く混ぜます。
- 水を加えてよく振って混ぜます。しっかりと混ざったら完成です。
布団や衣類にスプレーすることでトコジラミの侵入を防ぐことができます。
また、アロマディフューザーを使用して、部屋全体にアロマを拡散させる方法も効果的です。
ティーツリーオイルは殺菌作用があり、トコジラミの繁殖を抑える効果があります。アロマオイルを上手に活用して、トコジラミ対策を行いましょう。
手作りのスプレーがあれば、旅行先でも快適に過ごせるのでぜひトライしてみてください。
市販の虫除けスプレーによる健康への影響
虫除けスプレーには、「DEET」(合成殺虫剤)が含まれています。
DEETは第二次世界大戦中にアメリカ陸軍が昆虫忌避剤として研究を始め、その後広範囲にわたる昆虫忌避製品の主要成分として使用されるようになりました。
DEETはその高い効果と持続性から、野外活動や旅行時に非常に人気がありますが、長年にわたりその安全性について議論が続いています。
一部の人々にとって皮膚刺激や過敏症、神経系への影響が懸念されることがあります。
また、DEETを使用する際には、目や口の周りを避け、小さな子供やペットには直接塗布しないように注意する必要があります。
カナダなど一部の国では安全性から小さな子供への使用が厳しく制限されています。
その点、アロマスプレーは自然由来なため、体への害を心配する必要がないだけでなく、様々な研究により心身の健康に役立つ作用が確認されているので、おすすめです。
まとめ
トコジラミ対策は、オレガノを中心に精油を使用した手作りの虫よけスプレーが効果的です。
オレガノ精油はトコジラミの忌避率100%であることが研究で明らかになっており、虫よけスプレーとは異なりアロマオイルは体にいい影響をもたらしてくれるため、おすすめです。
トコジラミ対策のスプレーがあれば自宅で安心して過ごせるだけでなく、旅行先でも持ち歩いて快適に過ごしてくださいね。
トコジラミに悩む事業者様は、ホテルや旅館へのアロマ空間デザインの実績もある当社に一度ご相談ください。貴社にとって最適なご提案をさせていただきます。