ストレスは誰にでも起こるものですが、その種類や状態によって適した対処法は異なります。中でもアロマは、香りを通じて気分の切り替えやリラックスのきっかけをつくりやすいセルフケアの一つとして注目されています。
しかし、「どの香りを選べばいいのか分からない」「どう使えばいいのか迷う」と感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、アロマがストレスに対して働きかける作用や、ストレスの種類別におすすめの精油、日常に取り入れやすいアロマの使い方や注意点までをわかりやすく解説します。自分の状態に合った香りを見つけ、無理なくストレスケアに活用していきましょう。
本記事の監修者
ウェルネスコンサルティング株式会社
代表取締役 葵 智恵子


ホテル、車ショールーム、クリニックをはじめ全国200ヶ所以上で香り空間デザインを実施。
アロマの資格として、英国IFA認定国際アロマセラピストという、英国では看護師と同等の医療従事者として扱われる資格を取得。アロマ検定本『アロマ物語』監修。
アロマ空間デザイナー養成のためのアロマ空間デザインスクールを経営しており、全国から法人・個人の受講者が集まっている。
【保有資格】
- 英国IFA(国際アロマセラピスト連盟)認定 国際アロマセラピスト
- (公社)AEAJ認定 アロマセラピスト
- (公社)AEAJ認定 アロマテラピーインストラクター
- 日本フレグランス協会認定 フレグランスセールススペシャリスト
- フランス調香師学校Grasse Institute of Perfumery Natural Fragrances Stage修了 Diploma取得
天然成分が持つストレス軽減作用

天然成分が持つストレス軽減作用には、以下のような特性やメカニズムが関係しています。
- ストレスホルモンの調節
- リラクゼーション効果
- 自律神経の調整
これらの要因により、天然成分を含む精油や植物エキスは、ストレス軽減に有効な手段として利用されています。
ただし、個々の反応や効果は個人差がありますので、自身の体調や好みに合った方法で利用することが重要です。
個人的な利用はもちろん、事業やビジネスにおいても天然成分は大いに活躍してくれます。より効果的な使い方をしたい場合には、専門家やプロの方にアドバイスを受けることをおすすめします。
ストレスホルモンの調節
一部の天然成分は、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制する作用があります。
このような成分を含む精油を利用することで、ストレス反応の抑制やストレスホルモンのバランスを保つことができます。

アロマテラピー学雑誌より抜粋
上記の研究ではベルガモット精油吸入の30分後、唾液中の分泌型免疫型グロブリンAの分泌速度が有意に増加しました。
そして、ストレスホルモンと言われるコルチゾール濃度の低下が確認されました。これにより、ベルガモット精油の芳香浴が、免疫機能とストレス緩和に有用である可能性が示唆されました。
特に、レモン精油の香り刺激は総合的な気分状態を改善することが明らかになりました。
この結果から、ベルガモット精油は免疫機能とストレスホルモンに有益な効果を示し、レモン精油が総合的な気分状態の改善に効果的であることわかります。
リラクゼーション効果
多くの天然成分には、リラクゼーションを促進する効果があります。
たとえば、ラベンダー、カモミール、ジャスミンなどの精油には、鎮静作用があり、緊張や不安を和らげ、リラックスした状態に導くことが知られています。
日本口腔保健学で発表された研究では、ストレスを感じやすい歯科医院において、真正ラベンダー精油の香りを用いた実験でストレスの緩和が確認されました。
ラベンダー群の生理的反応が有意に低下し,POMS2 の「怒り-敵意(AH)」,「疲労-無気力
※諸田 聖佳,筒井 紀子「真正ラベンダー精油のストレス緩和効果」日本口腔保健学雑誌より抜粋
(FI)」,「緊張-不安(TA)」の 3 項目で,有意に得点が減少した(p < 0.05).ラベンダー群全員が真正ラベンダー精油の香りを肯定的にとらえていた.
真正ラベンダー精油の芳香成分と香りの嗜好性によって,対象者のストレスが緩和されたと考え
られる。
(中略)
また,ラベンダー精油以外にも柑橘系の香りは男女問わず人気が高く,精神を安定させ,気分を明るくする作用を持ち合わせている。
天然成分が持つリラクゼーション効果は、香りや化学成分、生理学的な反応など複数の要因が複雑に絡み合っています。
このようなメカニズムが相互作用することで、天然成分が心身のリラックスに寄与し、ストレス軽減や心の安定を支援する効果が期待されます。
自律神経の調整
天然成分を含む香りが嗅覚を刺激することで、自律神経系のバランスを整える効果があります。
自律神経は、身体の内部環境を恒常性を維持するために非常に重要な役割を果たしています。
例えば、体が寒くなった時には副交感神経が活性化され、体温を維持するための代謝が促進されます。また、食事後には副交感神経が活性化され、消化を促進し、栄養の吸収を助けます。

リラックス状態で高まる副交感神経活動が、バラの生花の香りによって増加しました(統計的に有意な差がありました)。
また、ストレス状態で高まる交感神経活動も、バラの生花の香りによって低下する傾向があり、バラの香りが体をリラックスさせる効果があることが示されました。
自律神経のバランスが乱れると、さまざまな健康問題が引き起こされる可能性があります。そのため、心身の健康を維持するためには、自律神経のバランスを整えることが重要です。
Lavender,Rosemary,CitrOnellaの3つの精油を吸入した際の自律神経系に及ぼす作用について調べた。Lavenderの香りは、交感神経系を抑え、精神・心理面だけでなく身体的にもリラックス効果をもたらした。逆にRosemaryのように精神・心理的にリフレッシュ0スッキリとした気分を感じさせるような香りは、その作用によって一過性に交感神経系を刺激する効果を持っていることが考えられた。
※吉田 聡子, 佐伯 由香「香りが自律神経系に及ぼす影響」日本看護研究学会雑誌より抜粋
特定の香りは交感神経を抑制し、副交感神経を活性化させることで、心身のリラックスやストレスの緩和に寄与します。
【ストレスの種類別】おすすめの精油9選

ストレスを感じている時におすすめのアロマについて、ストレスの種類別に紹介します。
イライラ・緊張を感じているとき
気持ちが高ぶっているときや、ちょっとしたことでイライラしやすいときは、落ち着きを感じやすい穏やかな香りを取り入れるのがおすすめです。深呼吸とあわせて香りを感じることで、気分を切り替えるきっかけをつくりやすくなります。
真正ラベンダー
やさしく穏やかなフローラルの香りが特徴で、リラックスタイムの定番として親しまれています。張りつめた気分をゆるめたいときや、気持ちを落ち着けたい場面で取り入れやすい香りです。
イランイラン
甘く濃厚で華やかな香りが特徴で、気分をゆったりとさせたいときに向いている香りです。非日常感のある香りは、緊張が続いていると感じるときの気分転換にも適しています。
ローマンカモミール
ほんのり甘さを感じるやさしいハーブ調の香りで、穏やかな時間を過ごしたいときにぴったりです。刺激が強すぎないため、落ち着いた環境づくりにも取り入れやすいのが特徴です。
フランキンセンス
落ち着きのあるウッディで静かな印象の香りが特徴です。ゆっくりと呼吸を整えたいときや、一人でリラックスした時間を過ごしたいときに適しています。
不安・落ち込みを感じているとき
気分が沈んでいるときや、なんとなく前向きになれないときには、明るさや軽やかさを感じる香りがおすすめです。重くなりがちな気分をやわらかく切り替えるサポートとして取り入れられます。
ベルガモット
柑橘系の爽やかさに落ち着きが加わったバランスの良い香りで、気分を整えたいときに使いやすい精油です。リラックスとリフレッシュのどちらにも寄りすぎない点が特徴です。
オレンジスイート
甘く親しみやすい柑橘の香りで、気分転換に取り入れやすい精油です。明るくやわらかな印象の香りは、気分が落ち込んでいるときにも使いやすいとされています。
疲労感・だるさを感じているとき
体や気分が重く感じるときや、やる気が出にくいときには、すっきりとした香りで気分を切り替えるのがおすすめです。リフレッシュ感のある香りは、日中の気分転換にも役立つでしょう。
ローズマリー
シャープで清涼感のある香りが特徴で、頭をすっきりさせたいときに向いています。作業前や気分を切り替えたいタイミングに取り入れやすい精油です。
レモン
フレッシュで軽やかな香りが特徴で、空間をさっぱりとした印象に整えてくれます。朝のリフレッシュや気分転換のきっかけとして使いやすい香りです。
集中できない・気が散るとき
ストレスによって集中力が落ちていると感じるときは、意識を切り替えやすい香りを取り入れるのがおすすめです。空間の雰囲気を変えることで、作業に入りやすくなるでしょう。
ペパーミント
清涼感のある強めの香りで、気分を一気に切り替えたいときに適しています。短時間でリフレッシュしたい場面に向いているでしょう。
ユーカリ
クリアでシャープな香りが特徴で、空間をすっきりとさせたいときに取り入れやすい精油です。作業環境のリセットにも役立ちます。
夜にリラックスしたい・緊張をゆるめたいとき
1日の終わりには、刺激が強すぎないやさしい香りを選ぶことで、落ち着いた時間を過ごしやすくなります。
真正ラベンダー
穏やかなフローラルの香りで、リラックスタイムに定番の精油です。ゆったりとした気分をつくりたいときに適しています。
ローマンカモミール
やさしい甘さのあるハーブ調の香りで、穏やかな時間を過ごしたいときに向いています。落ち着いた空間づくりにも取り入れやすい香りです。
ネロリ
上品で繊細なフローラルの香りが特徴で、静かな時間を大切にしたいときに適しています。気持ちをやわらげたいときに取り入れやすい精油です。
マンダリン
やわらかく甘みのある柑橘の香りで、リラックスタイムにも使いやすいのが特徴です。夜でも取り入れやすい穏やかな香りです。
ストレスケアに効果的なアロマの使い方

ストレスケアにアロマを使用する際におすすめの使用方法について紹介します。
ディフューザーで空間に広げる
精油の香りを部屋全体にやさしく拡散させることで、空間そのものの印象を変え、リラックスしやすい環境をつくることができます。
特に在宅ワークや家事の合間、就寝前など、同じ場所で長く過ごす時間帯に取り入れることで、気分の切り替えがしやすくなるでしょう。
香りは視覚や音と同様に「環境の一部」として働くため、意識しなくても自然と気分に影響を与えやすいのが特徴です。
ただし、香りが強すぎると逆に疲れてしまうこともあるため、最初は少量から試し、ほんのり香る程度に調整することがポイントです。
ハンカチ・ティッシュで手軽に取り入れる
外出先や職場など、ディフューザーが使えない環境では、ハンカチやティッシュに精油を1滴垂らして香りを楽しむ方法が便利です。
バッグやポーチに入れておけば、ストレスを感じたときや気分を切り替えたいタイミングですぐに取り出して使うことができます。
入浴やトリートメントで使用する
入浴時にアロマを取り入れることで、湯気とともに香りが浴室全体に広がり、よりリラックスしやすい時間にできます。
温かいお湯に浸かることで体がゆるみやすくなるため、香りと組み合わせることで、より効果的になるでしょう。
また、キャリアオイルで希釈した精油を使ったトリートメントもおすすめです。肩や首、手足などにやさしくなじませることで、香りと触覚の両方からリラックス感を得やすくなります。
アロマを使用する際の注意点

アロマを使用する際の注意点について、以下で紹介します。
精油は必ず希釈して使用する
精油は植物から抽出された成分が凝縮されているため、非常に濃度が高いです。
原液のまま肌に使用することは避け、必ずキャリアオイルなどで適切に希釈してから使うことが基本となります。
香りの強さは控えめにする
香りが強すぎると、かえって不快感につながったり、長時間の使用で香りに疲れてしまうことがあります。
特に室内で使用する場合は、空間の広さや換気状況によっても香りの感じ方が変わるため、少量から調整していくことがポイントです。
「少し物足りない」と感じるくらいの強さが、結果的に長く快適に使えるバランスです。
体調や好みに合わせて無理なく取り入れる
アロマは日常のリラックスや気分転換をサポートするものですが、体調やライフステージによっては使用に注意が必要な場合もあります。
特に妊娠中や体調に不安がある場合は、無理に使用せず、専門家に相談するなど安全性に配慮することが大切です。
まとめ
ストレスケアにおけるアロマは、「どの香りを使うか」と同じくらい「どの状態で使うか」が重要です。イライラしているときには落ち着いた香り、気分が沈んでいるときには明るい香り、疲れているときにはすっきりとした香りといったように、状態に合わせて選ぶことで、より実用的に活用できます。
また、ディフューザーやハンカチ、入浴など、自分のライフスタイルに合った方法で取り入れることで、無理なく継続しやすくなります。
一方で、精油の使用方法や香りの強さ、体調への配慮など、基本的な注意点を守ることも大切です。
アロマは日常に取り入れやすいセルフケアの一つです。自分に合った香りと使い方を見つけ、心地よいストレスケア習慣をつくっていきましょう。
