天然成分には、抗菌作用を持つものが多くあります。
天然の植物から抽出されたこれらのエッセンシャルオイルは、古くから様々な文化で医療や衛生目的に利用されてきました。
その効果は近年の研究でも裏付けられ、化学合成された抗菌剤と同等以上の効果を示しています。
天然成分ならではの制菌作用の解説と、制菌作用が期待できる注目の精油についてご紹介します。
天然成分ならではの制菌作用
植物から採れる香料には、紀元前から防腐剤や感染症対策などに用いられてきた長い歴史があります。
- 精油の防カビ・制菌作用
- 精油による手指消毒剤の清浄・保湿力
- 大腸菌・表皮ブドウ球菌に対する抗菌効果
このように精油には、天然植物から抽出された高濃度の成分が含まれており、その中には制菌作用を持つものもあります。
例えば、ティーツリーオイル、ユーカリオイル、ラベンダーオイルなどがその代表例です。
これらの精油は、抗菌、抗真菌、抗ウイルス作用を持つ成分を含んでいます。
ティーツリーオイルにはテルペン類が豊富に含まれており、特に広範囲の細菌や真菌に対して効果的です。ユーカリオイルにも同様の作用があり、呼吸器系感染症などに使われることがあります。
精油の防カビ・制菌作用
防カビ・制菌作用が高いといわれる精油がどれほどの抗菌力を発揮するのかを実験したところ、次の菌には、記載の精油が「全面阻止」の結果となりました。
精油名/菌の種類 | 白癬菌 | クロカビ | アオカビ | ユーロチウム・ シバリエリ | 黄色ブドウ球菌 |
水虫やたむしなどを 引き起こす病原菌 | 浴室のタイルの すきまなどに 発生するカビ | 食品に発生する 青緑色のカビ | 書庫などに発生するカビの原因菌 | 傷口などが化膿する 原因菌 | |
ティートリー | ☆ | ☆ | ○ | ☆ | ○ |
ユーカリ・ラディアータ | ☆ | ○ | – | ☆ | △ |
シナモン | ☆ | ☆ | ◎ | ☆ | ◎ |
タイム | ☆ | ☆ | ☆ | ☆ | ◎ |
カモミール・ローマン | ☆ | – | – | ☆ | – |
カモミール・ジャーマン | △ | – | – | △ | – |
ラベンダー | ☆ | ☆ | – | ☆ | △ |
ヒノキ | ◎ | – | – | ○ | △ |
ラベンサラ | ☆ | – | – | ☆ | – |
フェンネル | ☆ | ☆ | △ | ☆ | – |
この結果を見ると、ティーツリー、ユーカリ、シナモン、タイム、カモミールR、ラベンダー、ラベンサラ、フェンネルなどは室内で発生しやすいカビ類に効果的ということがわかります。
精油による手指消毒剤の清浄・保湿力
ラベンダーとティートリーのブレンド精油とアルコール消毒剤の使用前と使用後5分後を比較すると、ATP値が有意に低下していることが確認されました。
さらに、角質水分量については、精油の方がアルコール消毒剤よりも若干高い水準を維持している傾向が観察されました。
この結果から、植物油で希釈した精油は、洗浄効果は劣るものの、一定の効果があることが示唆されます。
また、保湿作用に関しては精油が優れている可能性も示唆されました。
大腸菌・表皮ブドウ球菌に対する抗菌効果
大腸菌や表皮ブドウ球菌に対する抗菌効果は、精油の中でも特に注目される性質の一つです。
これらの菌は、人間の健康に悪影響を及ぼす可能性がある病原体であり、適切な対策が必要です。
精油に含まれる成分の中には、これらの菌の成長を抑制する作用があります。
結果:抗菌効果を示した製油
※芋川 浩*,今浪愛里**「精油(ティートリーとラベンダー)の抗菌効果の検討 その1」福岡県立大学看護学研究紀要より抜粋
1.ティートリー
検討した精油の中でティートリーだけが、
【大腸菌】【表皮ブドウ球菌】【黄色ブドウ球菌】
の全ての細菌に対して得られた((表1や図3-図5 表2,図6,図8)
【黄色ブドウ球菌】に対する抗菌効果は【表皮ブドウ球菌】と比べると,大きいものではなかった
2.ラベンダー
【表皮ブドウ球菌】【黄色ブドウ球菌】
に抗菌効果を示した(表1,表2,図4,図7,図9)
特に、ティーツリーオイルやラベンダーオイルなどの精油は、大腸菌や表皮ブドウ球菌などの細菌に対して強力な抗菌作用を示すとされています。
そのため、これらの精油を含む製品は、衛生面や健康管理に役立つ可能性があります。
制菌作用のある注目の精油8選
制菌作用のある精油をうまく生活に取り入れるなら、広範囲に拡散できるディフューザーがおすすめです。
部屋全体に精油の香りを拡散でき、特に制菌作用がある精油を選んで使用することで、空気中の菌を減少させる効果が期待できます。
キッチンやバスルームなどの菌が繁殖しやすい場所ではスプレーを使用すると効果的です。
下記のオイルは制菌作用がある注目の精油です。
それぞれ異なる成分を含んでいますが、共通して抗菌作用があるため、家庭だけでなく商業空間や医療現場で制菌目的で利用されることがあります。
ただし、使用の際には適切な希釈や使用法を守ることが重要です。
まとめ
天然成分ならではの制菌作用は、昔から注目されており近年では研究でも裏付けられています。
身近なカビ類などの対策にもなり、消毒としても使用することができるため、ディフューザーやスプレーで効果的に取り入れることをおすすめします。
使用する際には、適切な希釈率や使い方を守ることが不可欠ですので、専門家に相談するといいでしょう。