季節の変わり目や乾燥する時期になると、「咳が止まらない」「寝ている間に咳込んでしまう」といった悩みが増えます。咳は身体を守るための生理的反応ですが、続くと喉への負担だけでなく、睡眠の質低下や日中の集中力にも影響してしまいます。
そんな時に日常的なセルフケアとして注目されているのがアロマ(精油)を使ったケアです。香りがもたらすリラックス効果や環境を整える方法として取り入れられています。
この記事では、咳が出やすくなる原因から、咳や喘息が気になる時におすすめなアロマの特徴、活用方法、注意事項までわかりやすく解説します。
本記事の監修者
ウェルネスコンサルティング株式会社
代表取締役 葵 智恵子


ホテル、車ショールーム、クリニックをはじめ全国200ヶ所以上で香り空間デザインを実施。
アロマの資格として、英国IFA認定国際アロマセラピストという、英国では看護師と同等の医療従事者として扱われる資格を取得。アロマ検定本『アロマ物語』監修。
アロマ空間デザイナー養成のためのアロマ空間デザインスクールを経営しており、全国から法人・個人の受講者が集まっている。
【保有資格】
- 英国IFA(国際アロマセラピスト連盟)認定 国際アロマセラピスト
- (公社)AEAJ認定 アロマセラピスト
- (公社)AEAJ認定 アロマテラピーインストラクター
- 日本フレグランス協会認定 フレグランスセールススペシャリスト
- フランス調香師学校Grasse Institute of Perfumery Natural Fragrances Stage修了 Diploma取得
咳や喘息が出やすくなる主な原因とは?

咳は、異物や刺激から体を守るための反射ですが、環境や体調によって出やすくなることがあります。咳が出やすくなる代表的な要因を紹介します。
● 空気の乾燥
秋冬やエアコン使用時期は空気が乾燥しやすく、喉や気道の粘膜が乾きがちになります。乾燥した状態では外部刺激を受けやすく、咳が出やすい状態になります。
● アレルゲンやホコリなどの外的刺激
花粉、ハウスダスト、ダニ、PM2.5などの微粒子は、気管を刺激しやすいとされています。室内にいる時間が長い季節ほど影響を受けやすくなります。
● 気温差や冷たい空気
外と室内の気温差が激しい時や、冷たい空気を吸い込んだ時に咳込むことがあります。特に季節の変わり目はこの傾向が強まります。
● 心身の疲れやストレス
意外ですが、精神的な緊張やストレスが続くことで呼吸が浅くなり、喉の違和感を覚える人もいます。こんな時は、リラックスケアが役立ちます。
咳や喘息にアロマがおすすめな理由とは?

咳が気になる時のセルフケアとしてアロマが選ばれているのには理由があります。ここでは、アロマの特性と、なぜ香りが呼吸や気分のケアに役立つと考えられているのかを解説します。
香りが自律神経にアプローチするといわれているから
香りは鼻から取り込まれると、大脳辺縁系と呼ばれる、自律神経や感情のバランスをつかさどる中枢に直接伝わるといわれています。
自律神経が乱れると、呼吸が浅くなったり、気道が緊張しやすくなったりすることで、咳が出やすくなる場合がありますが、アロマによって心身がリラックスすると、自律神経のバランスが整いやすくなり、結果として深くゆったりとした呼吸を意識しやすくなります。
そのため、咳や喘息で緊張しがちな状態のサポートにつながります。
リフレッシュ感のある空間作りができるから
精油に含まれる芳香成分は揮発性が高く、空間に広がることで、空気をすっきりと感じさせる特徴があります。
特にユーカリやティーツリーなどの清涼感のある香りは、鼻や喉にこもる不快感を和らげ、呼吸をしやすいと感じられる環境づくりに役立つとされています。
咳が続くと呼吸が浅くなり、さらに喉や気道に負担がかかりやすくなりますが、香りによって空間そのものを整えることで、無意識のうちに呼吸が整いやすくなるという間接的なサポートが期待されます。
研究でも香りと心身の関係が示唆されているから
近年、植物の芳香成分に関する研究が進み、香りが自律神経のバランスやリラックス状態、睡眠の質などに影響を与える可能性が示唆されています。
ストレスや睡眠不足は自律神経の乱れを招き、咳や喘息の出やすさにも関係すると考えられています。そのため、香りによって心身がリラックスし、睡眠の質やストレス状態が整うことは、結果的に呼吸状態の安定にもつながると考えられます。
ただし、精油は医薬品ではなく、症状を直接治療するものではありません。あくまで日常を快適に過ごすためのセルフケアの一つとして取り入れることが大切です。
咳や喘息が気になる時に選ばれる精油5選

咳や喘息が気になる時に、香りで気分をすっきりさせたり、呼吸のしやすさをサポートする目的で選ばれることが多い精油を紹介します。
ユーカリ
ユーカリは清涼感のあるすっきりとした香りが特徴です。そのため、気分を切り替えたい時や、呼吸を深く感じたい時に選ばれる精油です。
刺激が苦手な方には穏やかな「ユーカリ・ラディアータ」がおすすめです。
ペパーミント
ペパーミントは爽快感の強い香りで、リフレッシュしたい時に適しています。気分転換や眠気覚ましにも活用されることが多い精油です。ただし、刺激が強いため、使用量は控えめにした方が安心です。
ティーツリー
ティーツリーはフレッシュでクリーンな香りが特徴の精油です。乾燥が気になる季節や空気をリフレッシュしたい時におすすめです。
サンダルウッド
サンダルウッドは深く甘く、ウッディーな香りが特徴で、リラックス効果の高い精油として知られています。乾燥しやすい季節や、ゆっくりと心を落ち着けたい夜におすすめです。
パイン
パインは松の葉から抽出される精油で、森林浴のような清々しい香りが特徴の精油です。
すっきりとした香りが呼吸を楽に感じさせ、気分をリフレッシュしたいときにおすすめです。
咳や喘息が気になる時のアロマ活用方法
精油のおすすめの使い方を紹介します。
蒸気吸入(スチーム吸入)

蒸気吸入は、呼吸や鼻をすっきりさせたい時に向いているアロマの活用方法です。
蒸気吸入の手順は以下の通りです。
- ボウルに熱めのお湯を入れる
- 精油1~2滴を垂らす
- 湯気をゆっくり吸い込む
まずは短時間の使用から始め、万が一刺激が強い場合はすぐに使用を中止しましょう。
アロマスプレー

アロマスプレーは小さいボトルなどに入れて持ち運ぶこともできるため、外出先や職場でも使いやすい方法です。
アロマスプレーの作り方は以下の通りです。
【基本レシピ(50ml)】
無水エタノール 5ml
精油 10~15滴
精製水 45ml
使用前によく振り、衣類や寝具に使用する際は距離を取ってスプレーすると香りが広がり、アロマの効果を期待できます。
芳香浴

アロマオイルを活用する方法もあります。ラベンダーやユーカリなどリラックス作用や呼吸器系への効果を期待できるアロマオイルを1滴、ティッシュやアロマストーンに垂らして枕元に置くのがおすすめです。
香りが強すぎない距離に置くのがコツです。
アロマを使用する際の注意点

精油は天然素材ですが、成分が濃縮されているため、使用時にはいくつか注意が必要です。
アロマを使用する際の注意点について以下で紹介します。
子どもへの使用は慎重に
6歳未満の子どもは、まだ身体の機能が十分に発達していないため、大人にとっては心地よい香りであっても、刺激が強すぎる場合があります。
特にユーカリやペパーミントは清涼感が強く、呼吸器への刺激となることがあるため、使用は控えるか、どうしても使いたい場合は専門的な情報を参考にし、極めて低濃度で取り入れることが大切です。
子どもに使う場合は「安全性が高い」とされる精油を選び、短時間・低濃度を心がけましょう。
妊娠中・授乳中の使用
使用を控えた方がよい精油もあるため、事前に確認することをおすすめする。
妊娠中・授乳中は、ホルモンバランスが大きく変化し、体調も不安定になりやすいため、精油の影響を受けやすい状態にあります。なかには子宮の収縮を促す可能性がある精油や、体質によっては気分が悪くなる香りも存在します。
そのため、使用を控えた方がよい精油があることを理解したうえで、事前にしっかり確認してから取り入れることをおすすめします。
持病・アレルギーがある場合
持病やアレルギーがある場合も注意が必要です。香りは脳や自律神経に直接作用するため、体調によっては刺激になったり、症状を悪化させてしまったりするケースもあります。
例えば、喘息やアレルギー体質の方は、強い香りによって咳や息苦しさを感じることがあります。少しでも違和感を覚えた場合はすぐに使用を中止し、心配な場合は事前に医師に相談しておくと、より安全にアロマを楽しむことができます。
精油は原液で肌につけない
精油は植物の有効成分が高濃度に凝縮されているため、原液のまま肌に塗布すると、赤みやかぶれ、強い刺激を感じる原因になります。
肌に使用する場合は、必ずホホバオイルやスイートアーモンドオイルなどのキャリアオイルで適切な濃度に希釈してから使うようにしましょう。ほんの少量でも十分に香りや作用を感じられるのが、精油の特徴です。
まとめ

咳は生活の質に影響しやすい症状の一つですが、アロマを取り入れることで心地よい空気環境を整えたり、気分をリラックスさせたりするサポートが期待できます。
アロマは医薬品ではないため、即効性を求めすぎず、日常のコンディションケアとして取り入れるのがおすすめです。
自分に合う香りを見つけ、無理せず続けられる方法で活用してみてください。
