アロマの蒸留事業によるアップサイクルの取り組み

廃棄される植物の新生物語

ウェルネスコンサルティング株式会社では、廃棄される植物に新たな価値を生み出す活動に取り組んでいます。

このプロジェクトは、原料探し(農家や畑オーナー、業者探し)から行い、自社のラボで蒸留し、製品化するというものです。

脱プラスチックを意識し、ボトル素材にもこだわっています。芳香蒸留水(ハーブウォーター)は茨城県守谷市のふるさと納税返礼品としても登録されています。

アップサイクル事業のきっかけ

葵智恵子

アロマの世界で見た変化と現状

アロマの世界に足を踏み入れてから20年近くが経ちますが、この間、世界的にも環境問題が大きな話題になり、持続可能性への関心が高まってきました。

例えば、ローズウッドやサンダルウッドといった希少な植物が乱伐され、その結果として精油の価格が上昇し、供給も不安定になっている現状を身近に感じてきました。
これらの香りは私自身も大好きでしたので、なかなか入手しにくくなっていくのを見ながら、やはり植物の命って有限だからこそ価値があるのだなと感じていました。

コロナ禍がきっかけに

アロマに関わるその間ずっと、自然と人間の関わり方について、常に意識してはいたのですが、コロナ禍をきっかけとして、何か新しいことを、と考えたのが、今回の蒸留事業のきっかけでした。

精油は天然の植物から採れる産物なのでそもそも貴重ですが、気候変動による収穫量の減少に加え、需要に対して植林活動が追い付かないという現状に更に拍車がかかりました。そして新型コロナ禍によるサプライチェーンの寸断が重なったかと思うと、円安による製造・物流コストの上昇が加わり、そこに更にロシアのウクライナ侵攻による世界情勢の不安定化によるエネルギー市場の混乱やインフレの影響もあり、精油の価格がみるみる急騰しました。2倍以上になったものも少なくありません。

入手が難しくなってくるなら自社でも製造を始めたいと思ったことがきっかけで、新たなチャレンジを検討することになりました。自社ラボを新設し、蒸留器を設置し、ラベンダーやローズマリー、ミント、木材等の蒸留(精油やフローラルウォーターの採取)を始めることです。

新しく刈り取るのではなく、破棄される予定の植物を

そんな構想をしていた頃、とあるレストランにラベンダーが咲いているのを見かけました。ラベンダーは花をきちんと刈ってあげないと、来年綺麗に咲かないため、本来はしっかり刈り取ることが必要です。そのことを踏まえて、そのレストランに刈り取る予定があるか聞いたところ、本業に忙しくて庭の手入れはなかなか手も回らないということだったので、こちらで刈らせていただいて、精油やウォーターを取り出すことで、ゴミとならず新しい価値として生まれ変わるというお話を持ち掛けたところ、快くどうぞ刈っていってくださいとおっしゃっていただきました。

更には、北海道を旅した時、ラベンダーがちょうど見頃を終える頃で、来年のために刈り取りを既に始められているラベンダー畑がありました。そこで、その方に「この刈り取ったラベンダーはどうするのですか」と聞くと、「燃やしてしまいます」とのことでした。こんなにいい環境でいい香りのするラベンダーなのにもったいない!と思い、差し支えなければいただいてもよいかと尋ねたところ、こちらもまた快く承諾していただきました。

少し動けば廃棄される植物がたくさんあり、そしてアップサイクル蒸留の話をすれば共感していただき、その廃棄される植物をいただける体験を通して、蒸留する材料を、わざわざ新しく刈り取るのではなく、破棄される予定のものをアップサイクルするという活動にしたい、という思いに結びつきました。

具体的な活動

農家さんとのつながり

当社の、香りでアップサイクルする、という理念に共感していただける、各地の農家さんや工房さんとのつながりが少しずつできています。
例えば、ラベンダー農家さんから、廃棄される予定だったラベンダーをいただいたり、建築現場の工房さんから、いつもならゴミとして捨てている木材の端材やカンナ屑をいただく話が出ています。それらを蒸留すると、まだまだいい香りの芳香蒸留水が取れるのです。

↓廃棄植物の収穫の様子

ラベンダー刈り取り体験記/スタッフブログ

心を満たすアロマの空間づくりを手掛ける、東京都新宿のウェルネスコンサルティング株式会社(代表取締役:葵智恵子)は、昨年から取り組みを強化している蒸留事業の原料…

ふるさと納税返礼品として

採れた精油や蒸留水をスプレー等の形で製品化したものが、茨城県守谷市のふるさと納税返礼品に登録されており、今後、ラインナップは増やしていく所存です。
これらの製品を通じて、地域社会に貢献するとともに、消費者に植物の大切さやアロマセラピーの素晴らしさを再認識してもらうきっかけを提供したいと思っています。

蒸留体験会も

<蒸留体験会の様子>

この活動を広める、あるいは精油の貴重さを体験いただく場として、「蒸留体験会」を年に数回行っています。この体験会では、みんなで植物の刈り取りを行い、蒸留の準備を行い、蒸留完了までの待ち時間に採取したハーブやかんきつ類を使って作ったスイーツやドリンクを楽しみました。

↓音が出ます

植物に込められた命と物語

当事業の目的

当事業の目的は二つあります。一つ目は、廃棄される植物の価値を再発見し、それを通じて環境保護に寄与すること。二つ目は、植物に新たな命を吹き込み、物語を持つ製品を世に送り出すことで、使用者にも植物への敬意を感じてもらうことです。

この事業では、捨てられるはずの植物に新たな命を吹き込み、廃棄される植物にもストーリーがあるということを伝えることに大きな価値を見出しています。
例えば、ラベンダーは綺麗に咲いて見てもらうために、暑い中毎日こまめに株の中の雑草まで手で抜いて、愛情込めて育ててきたお話をオーナーさんに伺いました。
スギやヒノキなどの木材は、国の花粉症対策で植え替えが推奨されたり、ウッドショックの中で価格が不安定になっている昨今、端材と言えども大切にしたい、というお気持ちで木材のアップサイクルを頑張っていらっしゃる方とつながることができました。

それぞれの植物には、育てる方、加工する方の愛情がとても込められていることに、感動を覚えます。その方々が今までやむなく捨てていたものを、香りという形で新たに生まれ変わらせることができる、ということは、植物を愛する当社にとって、とてもやりがいのある事業です。

香りのアップサイクルの輪

捨てられるものにも、背景にそれぞれストーリーがある。それらを商品と一緒に伝えて行けたらと思っています。

木は、樹木としての形と、伐採後加工されて建材という形で、二度生まれ変わるといいます。けれど、香りのアップサイクル活動によって、三度目、香りという形で生まれ変わらせることができます。

それまで愛情込めて育てた植物の一部をやむなく廃棄していた方々は、捨てるものだけどいいの?と言いながらもご提供いただき、いい香りが採れたと報告したら、一生懸命育てたものだから、役に立つなら嬉しいよ、ととても喜んでいただきました。

この活動に賛同いただける、廃棄予定の植物を提供いただける各地の農家さんや畑オーナーさん、加工業者さんとつながり、香りのアップサイクルの輪が広がって行けばいいなと思います。