湿度の高い季節になると、多くの家庭で悩みの種となるのが「カビ」です。
浴室や洗面所、クローゼット、押し入れなど、湿気がこもりやすい場所では、気付かないうちにカビが発生していることも少なくありません。
化学薬品を使わずに自然な方法でカビ対策を行う方法があり、、その中で注目されているのが「アロマ」です。
アロマオイルの中には、抗菌作用や抗真菌作用を持つものがあり、日常のカビ予防に活用できるとされています。
本記事では、カビ対策にアロマが活用される理由やおすすめの精油、具体的な使用方法について詳しく解説します。
本記事の監修者
ウェルネスコンサルティング株式会社
代表取締役 葵 智恵子


ホテル、車ショールーム、クリニックをはじめ全国200ヶ所以上で香り空間デザインを実施。
アロマの資格として、英国IFA認定国際アロマセラピストという、英国では看護師と同等の医療従事者として扱われる資格を取得。アロマ検定本『アロマ物語』監修。
アロマ空間デザイナー養成のためのアロマ空間デザインスクールを経営しており、全国から法人・個人の受講者が集まっている。
【保有資格】
- 英国IFA(国際アロマセラピスト連盟)認定 国際アロマセラピスト
- (公社)AEAJ認定 アロマセラピスト
- (公社)AEAJ認定 アロマテラピーインストラクター
- 日本フレグランス協会認定 フレグランスセールススペシャリスト
- フランス調香師学校Grasse Institute of Perfumery Natural Fragrances Stage修了 Diploma取得
アロマがカビ対策に注目される理由

植物は自らを細菌や真菌から守るためにさまざまな成分を生成しており、その成分の一部には抗菌・抗真菌作用が確認されています。
抗菌作用とは、細菌の増殖を防ぐ働きのことです。
カビも微生物の一種で、水分や温度、栄養などの条件が揃うと繁殖します。
特に水回りなどの湿度が高い場所では発生しやすく、人の皮脂や石鹸カス、汚れなどを栄養源にして増殖します。
なかでも黒カビは、浴室などの湿気の多い場所で発生しやすいため、早めの対策が必要です。
殺菌作用は、カビの胞子の発芽・形成を阻害して菌糸の成長を停止させる効果が期待できるため、しつこいカビ対策に最適です。カビは、表面を擦るだけでは除去できず、すぐに増殖してしまいます。
アロマの殺菌作用は古くからよく知られていて、代表的なものには感染防止剤にも使用されているクローブや、ミイラの防腐・保存剤に使用されたタイムやレモンなどがあります。
そのため、アロマを活用することで、空間の衛生環境を整えたり、カビが発生しにくい環境づくりをサポートしたりすることが期待できるでしょう。
一般的なカビ取り剤には塩素系成分が含まれることが多く、刺激臭が気になる人もいるかもしれませんが、アロマは心地よい香りを楽しみながら対策できるため、ナチュラル志向の人から支持されています。
そもそもカビとは?

カビは真菌(カビ菌)の一種で、湿度・温度・栄養分の3つの条件が揃うことで発生・繁殖します。
特に以下の環境はカビが発生しやすいとされています。
- 湿度60%以上
- 温度20~30℃程度
- ホコリや皮脂、石けんカスなどの栄養源が存在する場所
日本は高温多湿な気候であるため、梅雨や夏場を中心にカビが繁殖しやすい環境にあります。
カビが発生するとアレルギーや喘息などの健康被害を引き起こす可能性もあるため、早めの対策が重要です。
天然成分ならではの制菌作用
植物から採れる香料には、紀元前から防腐剤や感染症対策などに用いられてきた長い歴史があります。

- 精油の防カビ・制菌作用
- 精油による手指消毒剤の清浄・保湿力
- 大腸菌・表皮ブドウ球菌に対する抗菌効果
このように精油には、天然植物から抽出された高濃度の成分が含まれており、その中には制菌作用を持つものもあります。
例えば、ティーツリーオイル、ユーカリオイル、ラベンダーオイルなどがその代表例です。
これらの精油は、抗菌、抗真菌、抗ウイルス作用を持つ成分を含んでいます。
ティーツリーオイルにはテルペン類が豊富に含まれており、特に広範囲の細菌や真菌に対して効果的です。ユーカリオイルにも同様の作用があり、呼吸器系感染症などに使われることがあります。
精油の防カビ・制菌作用

※原著論文「20種の精油の微生物に対する制菌効果.川上裕司、橋本一浩、福田安住、菅沼 薫、新井 亮、熊谷千津、ケイ武居、野田信三、野松慶子、野村美佐子、福島明子、藤田晶子、松田都子、和智進一、山本芳邦.アロマテラピー学雑誌、Vol.12, No.1, 66-78, 2012」
防カビ・制菌作用が高いといわれる精油がどれほどの抗菌力を発揮するのかを実験したところ、次の菌には、記載の精油が「全面阻止」の結果となりました。

この結果を見ると、ティーツリー、ユーカリ、シナモン、タイム、カモミールR、ラベンダー、ラベンサラ、フェンネルなどは室内で発生しやすいカビ類に効果的ということがわかります。
精油による手指消毒剤の清浄・保湿力

ラベンダーとティートリーのブレンド精油とアルコール消毒剤の使用前と使用後5分後を比較すると、ATP値が有意に低下していることが確認されました。
さらに、角質水分量については、精油の方がアルコール消毒剤よりも若干高い水準を維持している傾向が観察されました。
この結果から、植物油で希釈した精油は、洗浄効果は劣るものの、一定の効果があることが示唆されます。
また、保湿作用に関しては精油が優れている可能性も示唆されました。
大腸菌・表皮ブドウ球菌に対する抗菌効果
大腸菌や表皮ブドウ球菌に対する抗菌効果は、精油の中でも特に注目される性質の一つです。
これらの菌は、人間の健康に悪影響を及ぼす可能性がある病原体であり、適切な対策が必要です。
精油に含まれる成分の中には、これらの菌の成長を抑制する作用があります。
結果:抗菌効果を示した製油
※芋川 浩*,今浪愛里**「精油(ティートリーとラベンダー)の抗菌効果の検討 その1」福岡県立大学看護学研究紀要より抜粋
1.ティートリー
検討した精油の中でティートリーだけが、
【大腸菌】【表皮ブドウ球菌】【黄色ブドウ球菌】
の全ての細菌に対して得られた((表1や図3-図5 表2,図6,図8)
【黄色ブドウ球菌】に対する抗菌効果は【表皮ブドウ球菌】と比べると,大きいものではなかった
2.ラベンダー
【表皮ブドウ球菌】【黄色ブドウ球菌】
に抗菌効果を示した(表1,表2,図4,図7,図9)
特に、ティーツリーオイルやラベンダーオイルなどの精油は、大腸菌や表皮ブドウ球菌などの細菌に対して強力な抗菌作用を示すとされています。
そのため、これらの精油を含む製品は、衛生面や健康管理に役立つ可能性があります。
カビ対策におすすめのアロマオイル

カビ対策におすすめのアロマオイルを紹介します。
クローブ
スパイシーで温かみのある香りが特徴の精油です。古くから清潔な環境づくりに活用されてきた植物として知られており、抗菌作用や抗真菌作用が期待されています。湿気がこもりやすい玄関や収納スペースなどの空間ケアにもおすすめです。
オレガノ
ハーブらしい力強くシャープな香りが特徴の精油です。抗菌作用や抗真菌作用に優れているとされ、湿気の多い季節の空間ケアに取り入れられることが多いアロマです。香りが非常に強いため、少量から使用するのがおすすめです。
タイム
爽やかさの中にスパイシーさを感じるハーブ調の香りが特徴です。抗菌作用や抗真菌作用が期待できる精油として知られ、空間を清潔に保ちたいときに活用されることが多い精油です。ティーツリーやレモンなど他の精油ともブレンドしやすいでしょう。
ティーツリー
カビ対策用のアロマとして最も有名なのがティーツリー。
オーストラリア原産の植物から抽出される精油で、抗菌作用や抗真菌作用に優れていることで知られています。
爽やかで清潔感のある香りが特徴で、浴室や洗面所などの湿気が多い場所のケアに適しています。
ヒバ
ヒノキに似た落ち着きのあるウッディな香りが特徴の精油です。青森ヒバに含まれる「ヒノキチオール」などの成分は、抗菌作用や抗真菌作用が期待されており、湿気が気になる場所の空間ケアにも適しています。森林浴のようなリラックスできる香りも魅力のひとつです。
アロマを使ったカビ対策の方法

アロマを使ったカビ対策の方法を紹介します。
アロマスプレーを作る
最も手軽な方法がアロマスプレーです。
用意するもの
- スプレーボトル
- 精製水100ml
- 無水エタノール10ml
- 精油10~20滴
作り方
- ボトルに無水エタノールを入れる
- 精油を加えてよく混ぜる
- 精製水を加える
- 使用前によく振る
浴室の壁や窓枠、クローゼットの内部などに吹きかけることで、カビ予防に役立ちます。
アロマディフューザーを活用する
アロマディフューザーで精油を拡散する方法も人気です。
空気中に香りを広げながら室内環境を整えることができるため、リビングや寝室などで活用できます。
特に梅雨時期や湿度の高い日には、ティーツリーやユーカリを使用すると爽やかな空間を演出できるでしょう。
掃除に取り入れる
床や棚の掃除で雑巾掛けなど行う場合には、バケツの水へ精油を数滴加える方法もあります。
雑巾がけや拭き掃除と組み合わせることで、カビ予防と消臭対策を同時に行えます。
ただし、素材によってはシミや変色の原因になる場合があるため、目立たない場所で試してから使用するのがおすすめです。
コットンや重曹に染み込ませる
コットンや重曹に精油を数滴垂らし、クローゼットや靴箱に置く方法も効果的です。
湿気がこもりやすい収納スペースのニオイ対策としても活用できます。
カビ予防には湿度管理が重要

アロマを活用するだけでは、根本的なカビ対策にはなりません。
カビの発生を防ぐためには、まず湿度を適切に管理することが重要です。
定期的な換気を行う
窓を開けて空気を入れ替えることで、湿気を外へ逃がしやすくなります。
浴室は入浴後に換気扇を回し、できれば数時間以上稼働させることが理想です。
除湿機を活用する
梅雨時期や雨の日が続く場合には除湿機の利用も有効です。
室内湿度を50~60%程度に保つことで、カビが繁殖しにくい環境を作れます。
水滴を放置しない
浴室や窓の結露などはカビの温床になってしまいます。見つけたらすぐに拭き取り、水分を残さないようにしましょう。
定期的に掃除する
カビはホコリや皮脂汚れを栄養源として増殖します。
普段から清掃を心掛けることで、カビの発生リスクを大幅に下げることができます。
アロマを使用する際の注意点

カビ対策としてアロマを使用する際に注意点について紹介します。
原液を直接肌につけない
精油は高濃度の植物成分です。原液を肌へ直接塗布すると刺激を感じる場合があります。
使用時は適切に希釈して使用しましょう。
ペットや小さな子どもがいる家庭は注意
一部の精油はペットに悪影響を与える可能性があります。特に猫は精油成分を分解する能力が低いため注意が必要です。使用前に安全性を確認してから使うようにしましょう。
精油の品質を確認する
アロマオイルにはさまざまな種類があります。
「精油(エッセンシャルオイル)」と表示された天然100%の商品を選ぶことが重要です。
合成香料を含むフレグランスオイルでは、期待する作用が得られない場合があります。
まとめ
カビは日本の住環境において非常に身近な問題ですが、日常的な予防によって発生リスクを大きく減らすことができます。
ティーツリーやユーカリ、ラベンダーなどのアロマオイルには抗菌・抗真菌作用が期待できるため、アロマスプレーやディフューザー、掃除などに取り入れることでカビ予防のサポートになります。
ただし、アロマだけでカビを完全に防げるわけではありません。換気や除湿、定期的な掃除などの基本的な対策と組み合わせることが大切です。
心地よい香りを楽しみながら住環境を整えたい方は、ぜひアロマを活用したカビ対策を取り入れてみてはいかがでしょうか。
