仕事や人間関係、生活環境の変化など、現代はストレスを感じやすい場面が多くあります。忙しい日々が続くと、気分が落ち込みやすくなったり、リラックスしにくくなったりすることも少なくありません。
そんな中で、日常のセルフケアとして注目されているのがアロマです。植物由来の香りを楽しむアロマテラピーは、気分転換やリラックスタイムのサポートとして取り入れられることが多く、在宅ワークや睡眠前の習慣として活用する人も増えています。
この記事では、メンタルヘルス対策としてアロマが選ばれる理由や、気分に合わせたおすすめ精油、取り入れ方、注意点について詳しく解説します。
本記事の監修者
ウェルネスコンサルティング株式会社
代表取締役 葵 智恵子


ホテル、車ショールーム、クリニックをはじめ全国200ヶ所以上で香り空間デザインを実施。
アロマの資格として、英国IFA認定国際アロマセラピストという、英国では看護師と同等の医療従事者として扱われる資格を取得。アロマ検定本『アロマ物語』監修。
アロマ空間デザイナー養成のためのアロマ空間デザインスクールを経営しており、全国から法人・個人の受講者が集まっている。
【保有資格】
- 英国IFA(国際アロマセラピスト連盟)認定 国際アロマセラピスト
- (公社)AEAJ認定 アロマセラピスト
- (公社)AEAJ認定 アロマテラピーインストラクター
- 日本フレグランス協会認定 フレグランスセールススペシャリスト
- フランス調香師学校Grasse Institute of Perfumery Natural Fragrances Stage修了 Diploma取得
なぜメンタルヘルス対策にアロマが注目されているのか

メンタルヘルス対策の一環として注目されているのが「アロマテラピー」です。
アロマテラピーとは、植物から抽出した精油の香りを活用し、心身のリフレッシュやリラックスタイムに役立てる自然療法のひとつです。
人は香りを感じると、その情報が鼻の奥にある嗅覚受容体から脳へ伝達されます。特に、香りの情報は感情や記憶、本能的な反応に関わるとされる「大脳辺縁系」に届きやすいと言われています。
大脳辺縁系は、ストレス反応や感情の変化、自律神経のバランスとも関係が深いと考えられており、香りによって気分が落ち着いたり、反対にリフレッシュ感を得られたりするのは、この仕組みが関係しています。
また、嗅覚は、視覚や聴覚よりも本能的に働きかけやすい感覚ともいわれています。
実際に、ラベンダーやベルガモットなどの香りについては、リラックスタイムや睡眠前の環境づくりで活用されることも多く、医療・介護・ウェルネス分野などで芳香環境づくりに取り入れられるケースもあります。
企業におけるメンタルヘルスケアの重要性

企業におけるメンタルヘルスケアの重要性も年々高まっています。
2025年にはストレスチェック制度の対象が拡大され、これまで努力義務とされていた従業員50人未満の事業場についても実施が義務化されることになりました。
これにより、大企業だけでなく中小企業や小規模事業者においても、従業員の心の健康を守る取り組みが求められています。
また、メンタルヘルス不調を理由とした休職者や退職者は増加傾向にあり、精神障害による労災請求件数・認定件数も高い水準で推移しています。
従業員の心身の健康は生産性や職場環境にも大きく影響するため、企業規模を問わずメンタルヘルス対策を経営課題の一つとして捉え、早期から取り組むことが重要です。
気分別|メンタルヘルス対策におすすめのアロマと活用法

おすすめのアロマ活用法を気分別に紹介します。
リラックスしたい時
真正ラベンダー
メンタルヘルスケアで定番とされるのが真正ラベンダーです。
やさしく落ち着きのあるフローラル調の香りが特徴で、緊張感が続いている時や、ゆっくり休みたい時に取り入れられます。
特に就寝前のディフューザーやアロマバスで人気があり、穏やかな空間づくりをしたい時にも使いやすい精油です。香りの刺激が比較的穏やかなため、アロマ初心者にも取り入れやすいです。
ベルガモットやオレンジスイートなど柑橘系とのブレンドも人気があります。

カモミールローマン
カモミールローマンは、甘さを感じるやさしいハーブ調の香りが特徴です。
穏やかな印象の香りで、ゆったりした時間を過ごしたい時や、気持ちを落ち着けたい時に取り入れられる精油です。
リラックスタイムや就寝前の芳香浴でも人気があり、ラベンダーとのブレンドも定番です。

サンダルウッド
サンダルウッドは、深みのあるウッディ調の香りが特徴です。
落ち着きのある静かな香りで、呼吸を意識しながらゆっくり過ごしたい時や、気持ちを整えたい時に取り入れられる精油です。
瞑想やヨガなど、静かな時間を過ごす場面でも人気があり、心を落ち着ける空間づくりに使われます。

気分転換したい時
ベルガモット
ベルガモットは、柑橘系の爽やかさと落ち着きの両方を感じられる香りが特徴。
紅茶のアールグレイの香りづけにも使われていることで知られており、甘さの中にほのかな苦みを感じる上品な香りを持っています。
気分転換したい時や、考え事が続いて頭が重たく感じる時に取り入れられることも多く、リフレッシュとリラックスのバランスが良い精油として人気があります。

ジャスミン
ジャスミンは、華やかで濃厚なフローラル調の香りが特徴です。
香りに高級感があり、気分を前向きに切り替えたい時や、自分をいたわる時間を作りたい時に取り入れられる精油です。
少量でも存在感を感じやすく、リラックス感と華やかさをあわせ持った香りとして人気があります。

オレンジスイート
オレンジスイートは、親しみやすい甘さのある柑橘系の香りが特徴です。
明るくやわらかな香りで、気持ちを切り替えたい時や、リラックスしたい時に取り入れられる精油です。
刺激感が比較的穏やかなため、アロマ初心者でも使いやすく、家族で取り入れやすい香りとしても人気があります。

集中したい時
ローズマリー
ローズマリーは、シャープでハーブ感のあるすっきりとした香りが特徴の精油です。
クリアで清潔感のある印象を持つ香りで、集中したい時や、気持ちを切り替えたい時に取り入れられることがある。長時間の作業や勉強の合間、朝のリフレッシュタイムなどにも人気があります。
特にローズマリー・シネオールは爽快感があり、ユーカリやレモンなどとの相性も良いとされています。空間をすっきりとした印象に整えやすいため、仕事部屋やデスク周りで使われることもあります。

ヘリクリサム
ハチミツを思わせる甘さの中に、ウッディでほのかにスパイシーさを感じる奥深い香りが特徴の精油です。
「イモーテル(永久花)」とも呼ばれ、心がざわついて集中できない時や、精神的な疲労を感じる時に取り入れられることもあります。
柑橘系やラベンダーなどと相性が良く、デスク周りで使うと、緊張を和らげながらじっくり思考を深める空間作りに役立つ精油です。

サイプレス
凛とした針葉樹の森を思わせる、ウッディで清々しいクリアな香りが特徴の精油です。
頭の中がゴチャゴチャしてまとまらない時や、雑念を払って思考をクリアにしたい時に取り入れられます。
ローズマリーやレモン、ベルガモットなどとの相性が非常に良く、まるで静かな書斎にいるような、落ち着いてタスクをこなせる環境を整えやすくなるでしょう。

メンタルヘルス対策としてのアロマの取り入れ方
メンタルヘルス対策としてアロマを使用する際のおすすめのアロマの使用方法を紹介します。
アロマディフューザー

もっとも一般的なのがディフューザーを使う方法です。
部屋全体に香りを広げやすく、寝室やリビング、仕事部屋など幅広い場所で使いやすく、取り入れやすいです。
アロマスプレー

外出先や仕事中でも使いやすいのがアロマスプレーです。
ハンカチや空間に吹きかけることで、気分転換しやすくなります。
アロマバス

お風呂時間に香りを取り入れる方法です。
浴槽に精油を直接入れるのではなく、天然塩や植物オイルに混ぜてから使用する方法が一般的です。
ハンカチ・アロマストーン

ハンカチやアロマストーンに精油をたらして使用する方法も、手軽に使いやすい方法として人気があります。
ハンカチやストーンに精油を1〜2滴垂らすだけなので、アロマ初心者でも取り入れやすい方法です。
アロマを使用する際の注意点
アロマを使用する際の注意点を紹介します。
香りが強すぎる場合は量を減らす
香りが強すぎると、逆に不快感や疲労感につながることもあるため注意が必要です。心地よいと感じる範囲で使うことが大切です。
原液を直接肌につけない
精油は高濃度の植物成分のため、原液を直接肌につけると危険です。肌へ使用する場合は必ず希釈し、少量から試すようにしましょう。
体調や気分によって香りの感じ方は変わる
普段は好きな香りでも、疲れている時など自身の体調や気分によっては重たく感じる場合があるでしょう。その日の気分や体調に合わせて香りを選ぶことが大切です。
まとめ
アロマは、香りを通して気分転換やリラックスタイムを作りやすいセルフケア方法のひとつです。
ラベンダーやベルガモット、オレンジスイートなど、香りによって印象が異なるため、自分の気分や生活スタイルに合わせて取り入れやすい点も魅力です。
忙しい毎日の中で、香りを楽しむ時間を少し取り入れるだけでも、気持ちを切り替えるきっかけになることがあります。
ただし、アロマは医療行為ではありません。無理を抱え込まず、必要に応じて休息や専門機関への相談も取り入れながら、自分に合ったセルフケアを続けることが大切です。
