株式会社スタートライン様との協業プロジェクトが始まりましたので、そのご紹介をさせていただきます。
ウェルネスコンサルティング株式会社では、香りを通じてウェルビーイングを広げるため、ハーブを使った製品開発に取り組んでいますが、今回その一環として、スタートライン様より、ハーブの蒸留実験のご依頼をいただきました。
このプロジェクトは、障害のある方々が新しい仕事に関わる可能性を広げる挑戦でもあります。まだ協業は始まったばかりですが、製品化に向けたプロセスを、少しずつシェアしていきたいと思います。
スタートライン様について
株式会社スタートライン様は、15年以上にわたって多くの企業の企業の障害者雇用をサポートされています。スタートライン様の素晴らしいところは、働く環境を作るだけでなく、お一人お一人の特性に合った働き方をサポートしている点です。
その一つが「INCLU(インクル)」というサテライトオフィスの運営で、ここでは障害のある方々が企業の事務作業を支援する形で働いています。
さらに「IBUKI(イブキ)」という屋内農園も運営され、ここではオレンジミントやメリッサなどのハーブなどを育ててオリジナルのハーブティーや商品を作られています。今回の蒸留実験では、この「IBUKI」で育てられたハーブを使って、実験を行いました。
自家製のハーブを使った製品が作れるというのは、とても魅力的ですが、私が何より感動したのは、水耕栽培のため、季節に関係なく採取できるという点です。
そして「BYSN(バイセン)」では、ハンドピックで丁寧に選んだコーヒー豆を自家焙煎して、オリジナルコーヒーを作られています。私が会社を訪問した際にも、コーヒー豆の焙煎体験ができるエリアがありました。
スタートライン様では、こういった様々な取り組みを通じて、障害のある方々に多様な働き方やスキルの機会を提供し続けていらっしゃいます。
ウェルネスコンサルティングのウェルビーイング活動
当社では、香りを通じて人々のウェルビーイング(心と体の健康)をサポートすることをミッションに、様々なアロマ関連のプロジェクトを進めています。
アロマには、心を落ち着かせたり、リフレッシュさせる他、消臭や抗菌など空気の洗浄効果もあります。当社ではそのアロマの力を実際の生活やビジネスの現場でどのように活用できるか常に模索しています。
例えば、医療機関では、患者様がリラックスできる空間を作るためのアロマ空間デザインを提供しています。
アロマ製品のOEM
また、最近ではアロマ製品のOEM(オリジナルブランド製品の製造)のご依頼をいただくことも増えてきました。当社のアロマに関する専門知識や、ブレンド(調香)のセンスに価値を感じていただき、お役に立てることはとても嬉しいです。
今回も、蒸留に関するノウハウや、採取された精油やフローラルウォーターを使った製品化において、当社の知見をご期待いただき、一緒に実験を行うに至りました。
協業の目的と意義
今回のスタートライン様との協業には、2つの目的があります。
・「香りを通じたウェルビーイングの促進」
・「障害者雇用支援」
それぞれについて説明します。
「香りを通じたウェルビーイングの促進」
ウェルネスコンサルティング株式会社では、アロマ事業を通して、人々の心身の健康をサポートすることをミッションとしております。
天然の香りには、ストレス軽減効果や集中力アップなど、多くの素晴らしい効果があります。今回の協業でも、香りを通じてより多くの人にウェルビーイングを届ける新たな製品作りに挑戦できればと考えています。
「障害者雇用支援」
2つ目の目的は、スタートライン様が長年取り組んでいる障害者雇用支援です。
今回の協業では、スタートライン様の「IBUKI」で栽培されたハーブを使って、企業様に価値を還元すること、更には、製品化のプロセス自体を作り出し、障害のある方々が携わる新しい仕事の創出に貢献することを目指しています。
当社が考えた調香レシピや製品づくりのノウハウが新しい雇用の創出につながればとても嬉しく思います。
ハーブ蒸留実験の詳細
先日、スタートライン様の「IBUKI」で栽培された4種類のハーブを持ち込んでいただき、当社のAOI’sAROMAラボにて蒸留実験を一緒に行いました。
台風の近づいている時期でしたが、なんとか実施できました!
実験したハーブは、オレンジミント、アップルミント、パイナップルミント、そしてスペアミント。前日に採取していただいた、とてもフレッシュなものをお持ちいただき、ラボ内にはたちまちよい香りが充満していました。
この4種類を一つずつ蒸留し、それぞれのハーブからアロマオイル(精油)とフローラルウォーター(ハイドロソル)を水蒸気蒸留法にて抽出しました。
実験中は、まるで科学の実験をしているかのような感覚で、冷やされた蒸気がガラスを通ってポタっと一滴一滴集まってくる瞬間は、毎回動画を撮ったりして盛り上がりました。
採れたはいいけど…そのあとの苦労
ハーブから採れた精油やフローラルウォーターを使った製品化のプロセスでは、いまだに多くの試行錯誤を繰り返しています。
まず、当社の経験上、予想していたことではありましたが、ハーブから抽出できる精油の量はやはりとても少ないものでした。ただ事前にお伝えしていたものの、スタートラインのスタッフ様は「そんなに採れないんですね?!」と驚かれていました。「精油が高い、というのはこういうことなんですね!」と実感もされていました。
さらに、フレッシュなハーブ自体はとても良い香りではあっても、ハーブによっては、フローラルウォーターになった時点で、青青しく、湿ったようなニオイとなるものもあり、一口にミント、と言っても、実験してみると採れるフローラルウォーターの香りは、それぞれ全く異なる性質を持つものでした。
蒸留水を使った試作
そこからが一番大変なことですが、このフローラルウォーターはどういう材料と合わせると、どういう製品として使えるものになるだろうか、ということを考えることで、現在、5つくらいの案を考えておりますが、まずその一つは、空間スプレーを作ることです。
後日、当社の調香チームで集まり、どのフローラルウォーターには、どういうものを使えばよりよい香りの製品になるかということを考え、試作品をいくつか作成しました。
不思議なもので、こういう香りのものに対しては、こういう香りは負けそうだね、とか、お互いに良さを消しちゃうね、とかが調香の経験上ピンとくるもので、「あの精油を使ったらどうかな!?」「〇〇の精油って今あります?」とか言いながら、調香の案をひねり出すのは一苦労ではありますがそれなりに楽しく行いました。
試作品のお披露目
更に後日、それをスタートライン様に見ていただいたところ…
「めちゃくちゃいいじゃん!」
そうおっしゃっていただいた時には本当に嬉しかったです。
というのも、正直、実験当日は、あまり精油が採れなかったこととか、採れたフローラルウォーターも精油の香りとは違うこともあり、これをどうしたらよいのか…というムードもありました。
でも、フローラルウォーターは、それだけでは奥深さがあまりないのですが、少し調香を行うことで、自然由来の心地よい香りになります。
ハーブを栽培し、それを使って香りのある製品を作るというプロセスは、生みの苦しみがあります。それでも、試行錯誤した分だけ、喜んでいただけた時の喜びはひとしおです。
今回の蒸留実験も、そうした難しさに直面しながらも、多くの学びと新しい発見がありました。
まとめ
今回は、スタートライン様の障害者雇用支援事業の一つである「IBUKI」で作られたハーブと、当社ウェルネスコンサルティング株式会社の調香ノウハウを使って、どんなことができるかの実験の第一歩を、お伝えしました。
今回の協業は、単なる製品開発に留まらず、障害のある方々が関わる新しい仕事の創出という面で、重要な意味を持っています。
スタートライン様の障害者雇用支援事業に、当社が関われることをとても有意義に感じています。
そして、IBUKIで育てられたハーブが、蒸留を通して、スプレーなど別の形で香りを楽しめるものになって企業様へ還元される、そのノウハウ部分で当社がお役立てていることをとても嬉しく思います。
今後も企業様からいただくご意見を反映しながら、新しいアイディアを出していきたいと考えています。スタートライン様の障害者雇用支援の知見と、当社の調香技術を掛け合わせることで、社会にとって価値ある製品と働き方の両方を生み出していくことを目指しています。
これからも、香りがもたらす心地よさを多くの人に届けながら、社会全体にとってもポジティブな影響を与えられるよう、挑戦を続けていきます。引き続きこのプロジェクトについては発信していきたいと思います。