喉の痛みは風邪やインフルエンザ、乾燥、アレルギー、過度の声の使用などによって引き起こされる、私たちにとって身近な症状の一つです。痛みが続くと、食事や会話にも支障が出るようになり、日常生活の質が低下してしまいます。そんな時は、自然の力を借りてケアできたら嬉しいですよね。
近年、アロマテラピーが健康ケアの一環として注目されています。植物から抽出した精油の香りは心身のバランスを整えるだけではなく、呼吸器系の不快感を和らげる効果も期待できます。
この記事では、喉の痛みに効果的なアロマの種類や使い方、注意点を詳しく解説します。
本記事の監修者
ウェルネスコンサルティング株式会社
代表取締役 葵 智恵子


ホテル、車ショールーム、クリニックをはじめ全国200ヶ所以上で香り空間デザインを実施。
アロマの資格として、英国IFA認定国際アロマセラピストという、英国では看護師と同等の医療従事者として扱われる資格を取得。アロマ検定本『アロマ物語』監修。
アロマ空間デザイナー養成のためのアロマ空間デザインスクールを経営しており、全国から法人・個人の受講者が集まっている。
【保有資格】
- 英国IFA(国際アロマセラピスト連盟)認定 国際アロマセラピスト
- (公社)AEAJ認定 アロマセラピスト
- (公社)AEAJ認定 アロマテラピーインストラクター
- 日本フレグランス協会認定 フレグランスセールススペシャリスト
- フランス調香師学校Grasse Institute of Perfumery Natural Fragrances Stage修了 Diploma取得
喉の痛みの原因と一般的な対処法

喉の痛みの主な原因は以下の通りです。
- ウイルス感染(風邪、インフルエンザなど)
- 細菌感染(扁桃炎、咽頭炎)
- 乾燥(空気の乾燥や加湿不足)
- アレルギー反応(花粉症やハウスダスト)
- 過度な声の使い過ぎ(声枯れ)
- 喫煙や刺激物の吸入
ウイルス性の喉の痛みは一般的に自然に治癒しますが、細菌感染の場合は抗生物質の治療が必要になることもあります。
乾燥やアレルギーによる喉の痛みは、環境の改善や対症療法が基本の対処法となります。
一般的な対処法としては、こまめな水分補給、塩水うがい、室内の加湿、十分な休息が挙げられます。また、症状がひどい場合には、医療機関の受診が必要となります。
アロマテラピーとは?

アロマテラピーは、植物から抽出された精油(エッセンシャルオイル)を用い、香りを嗅ぐことで心身の健康を促進する自然療法です。芳香浴、マッサージ、蒸気吸入などさまざまな方法で利用されています。
精油には呼吸器系のトラブルに役立つものも多いのが特徴です。
自然の力で症状を緩和し、体の回復力を助ける補助療法として有効とされています。
喉のケアに効果的なアロマの使い方
喉の痛みの緩和を目的としたアロマの使い方をいくつか紹介します。
蒸気吸入

蒸気吸入は、最も簡単で即効性のある方法の一つです。
熱いお湯に精油を数滴垂らし、その蒸気を鼻や口から吸い込むことで、精油が喉や鼻に届きやすくなります。
蒸気吸入の方法:
- 清潔な耐熱ボウルにお湯(約40〜50℃)を注ぐ
- 精油を2〜3滴垂らす(ユーカリ、ティーツリー、ペパーミントなどがおすすめ)
- タオルを頭からかぶせ、蒸気が逃げないようにする
- 5〜10分ほどゆっくり深呼吸を繰り返す
蒸気が熱すぎると粘膜を痛めることがあるため、温度調整には注意が必要です。
芳香浴
芳香浴は、ディフューザーを使って部屋に精油の香りを拡散させる方法です。
部屋の空気が潤い、呼吸がしやすくなるとともに、香りのリラックス効果も得られるためおすすめです。
オイルマッサージ
オイルマッサージは、精油をキャリアオイルで希釈し、首や胸元、背中に優しく塗布する方法です。
香りのついたオイルを使用することで、体の緊張を和らげるとともに、香りによるリラックス効果も期待できます。
希釈率は精油1〜2%(キャリアオイル50mlに対して10〜20滴程度)が目安です。
喉の痛みに効果的なアロマ

喉の痛みのケアを期待できるアロマについて、以下で紹介します。
ユーカリ
ユーカリはすっきりとした清涼感のある香りが特徴の精油です。
特に「ユーカリグロブルス」は、鼻や喉をすっきりと感じさせたいときに人気があります。
爽やかな香りが空気を浄化するような印象を与え、気分をリフレッシュさせてくれます。
ティーツリー
ティーツリーはオーストラリア原産の精油で、清潔感のあるすっきりとした香りが特徴です。
喉まわりがムズムズしたり、乾燥で違和感を覚えるときに心地よく感じられる香りとして親しまれています。
刺激がやや強い精油なので、使用する際はキャリアオイルで薄めて使うようにしましょう。
ラベンダー
ラベンダーは、穏やかでやさしい香りが特徴の精油です。
リラックスしたいときや、喉の違和感で気分が落ち着かないときにリラックスできる香りとして親しまれています。喉の痛みの不快感を和らげるのに適しており、精神的なストレスや不安の緩和にも役立ちます。
柔らかな香りなので、アロマ初心者にも取り入れやすい精油です。
ペパーミント
ペパーミントのメントール成分は、喉の痛みを冷やして和らげる作用があります。メントールのすーっとした香りが喉や鼻まわりをすっきりと感じさせてくれます。気分をリフレッシュしたいときや、こもった空気を入れ替えたいシーンにもおすすめです。
ただし、刺激があるため、使う際には使用量に注意が必要です。
カモミールローマン
カモミールローマンは、やさしく甘い香りが特徴の精油です。
心を穏やかに整えたいときや、喉のまわりをやさしくケアしたいときに好まれています。
刺激が少ないため、子どもや敏感肌の方にも比較的使いやすい精油です。
咳が続く時に効果的なアロマ

咳が続く時に効果が期待できるアロマについて、以下で紹介します。
サイプレス
サイプレスはスッとしたウッディな香りを持ち、呼吸器系の不調に広く用いられる精油です。乾燥による喉のムズムズが気になるときにも心地よく感じられます。
夜間の咳対策や就寝前の芳香浴に最適です。
サンダルウッド
サンダルウッドは深く甘く、ウッディーな香りが特徴で、リラックス効果の高い精油として知られています。
呼吸を整えるような穏やかな香りで、乾燥しやすい季節や、ゆっくりと心を落ち着けたい夜に取り入れられています。
瞑想や睡眠導入にも適しているため、咳による不眠で困っている方にもおすすめです。
フランキンセンス
フランキンセンスは樹脂から抽出される神秘的な香りの精油で、古代から宗教儀式や瞑想に使われてきました。
呼吸を深く穏やかに整える作用があり、咳によって浅くなった呼吸をサポートします。
また、免疫力を高める働きも期待できるため、喉のトラブルケアにも役立つ精油といえるでしょう。
痰が絡む時に効果的なアロマ

痰が絡む時に効果が期待できるアロマについて、以下で紹介します。
シダーウッド
シダーウッドは森林のような温かみのある香りを持ちます。痰が絡んで呼吸がしにくいときに特に効果的な精油です。
喉や胸まわりに違和感を感じる時も、穏やかですっきりした印象を与えてくれる香りとして親しまれています。
鎮静作用もあるため、夜のリラックスタイムにもおすすめです。
パイン
パインは松の葉から抽出される精油で、森林浴のような清々しい香りが特徴です。
すっきりとした香りが呼吸を楽に感じさせ、気分をリフレッシュしたいときにおすすめです。
また、頭をスッキリさせ、疲労感を和らげる効果もあるため、風邪の初期症状のケアにも最適でしょう。
ミルラ
ミルラはフランキンセンスと同様に樹脂から抽出される精油で、古代から傷や感染症の治療に使われてきました。
深みのある香りが特徴の精油で、すっきりとした呼吸をサポートするといわれており、乾燥を和らげる効果もあります。
アロマを使う際の注意点

アロマを取り入れることで心身の不調を和らげたり、気分をリフレッシュさせたりすることができますが、使用方法を誤ると体調不良や肌トラブルの原因になることもあります。ここでは、アロマの使用上の注意点を詳しく紹介します。
原液は直接肌に使わない
精油(エッセンシャルオイル)は、植物から抽出された高濃度の成分が凝縮されています。そのため、原液をそのまま肌に塗布すると刺激が強く、赤み・かゆみ・炎症などの肌トラブルを起こすことがあります。
マッサージやスキンケアに使用する場合は、キャリアオイル(ホホバオイルやスイートアーモンドオイルなど)で1〜2%程度に希釈して使うのが基本です。
子ども、妊娠中、授乳中は使用を慎重に
アロマオイルの中には、ホルモンバランスに影響を与えるものや、刺激が強い成分を含むものもあります。特に、妊娠初期は香りや成分によって体調が変化しやすい時期のため、使用を控えたほうが安心です。
また、肌が敏感な小さな子どもに使用する場合も注意が必要です。ユーカリやティーツリー、ペパーミントなどは清涼感が強く、大人には心地よくても子どもには刺激が強すぎることがあります。
どうしても使いたい場合は、アロマセラピストや医師に相談し、濃度や使用方法を確認してからにしましょう。
アレルギー反応に注意
精油には植物由来のさまざまな成分が含まれているため、人によってはアレルギー反応を起こす場合があります。特に、柑橘系(レモン、オレンジなど)やラベンダー、ティーツリーなどは比較的反応が出やすいとされています。
初めて使用する精油は、いきなり広範囲に使うのではなく、腕の内側など目立たない部分に少量を塗って24時間ほど様子を見る「パッチテスト」を行いましょう。
赤みやかゆみなどが出なければ使用しても問題ありませんが、少しでも異常を感じた場合はすぐに洗い流し、使用を中止してください。
まとめ
喉の痛みは誰にでも起こる身近なトラブルですが、アロマテラピーを取り入れることで自然な形で症状を和らげ、心身の健康維持にも役立ちます。
ユーカリ、ティーツリー、ラベンダー、ペパーミント、カモミールといった精油は抗菌や抗炎症作用を持ち、蒸気吸入や芳香浴、マッサージなど多様な方法で活用できます。
しかし、精油を使う際は、使い方や安全面に十分注意し、重症の場合は医療機関を受診してください。自然の恵みを上手に活用し、快適な毎日を送りましょう。
